みゆき
「みゆき」。80年代にビックコミックで連載していた恋愛コメディーで、あだち充にしては珍しく野球話題が全く出てこない珍しい作品。一見かなり平凡な高校生・若松真人。外見通りこれと言って秀でたものもなく普通の青年だ。父親は海外赴任中で、母親は2回死別し、母に恵まれない環境で育った。そんな彼が、想いを寄せる同級生・鹿島みゆきと恋仲になる。と同時に、海の家でバイトしていたときに出くわした水着の女性にも胸がトキメく。冴えない男子高校生にいっぺんに春が、と思いきや水着の女性は、父が海外に連れて行っていた妹の若松みゆきだった。平凡な青年・若松真人と恋人と妹の二人の「みゆき」による恋愛ラブコメディだ。ただ、最後はコメディらしからぬ、アブノーマルな結末が用意されていた。真人が結婚相手に選んだのが、なんと妹のみゆきだったのだ。妹のみゆきも兄に想いを寄せていたのだから相思相愛。実際、二人の関係は親が連れ子同士の結婚だったので血縁関係はなく、法律的には結婚OKではあるものの、実質的には妹だ。爽やかな青春ドラマが得意なあだち充氏にしたら、アブノーマルな結末を用意したものである。しかも、可哀そうなのは恋人のみゆきである。恋人を妹に奪われたのだから、泣くに泣けない。不満をぶつけようにもどうすることも出来なかっただろう。さらに、妹のみゆきには婚約者でサッカー選手の沢田優一もいた。結婚式の披露宴の最中に花嫁を奪われた花婿の気持ちもなんたるや、である。最後は、鹿島みゆきと沢田優一が、傷心旅行の北海道で偶然鉢合わせするところで終わるのだが、振られた者同士の慰め合いで付き合うのもどうなのだろうか。